Half-Space

ハーフスペース。それはグアルディオラの戦術分析界隈で用いられる用語で、ピッチを縦に5分割した時に中央からセンターハーフスペースウイングというようにレーンに名前を付けている。

Variability in access from the half space

従来のフットボールにおいて、中央かサイドかの2択で話を進められることが常であった。そこに新しく加わったハーフスペースにはどのような利点があり用いられているのか考察していきたい。

ハーフスペースはウイングのスペースと比べてゴールに近く、センターのスペースほどプレッシャーが厳しくない。またウイングとは異なり、360度のプレー方向がある(上図の矢印を参照)。センターは選択肢の自由度が最も大きい一方、プレッシャーが激しく密集しており広い視野を保ちながら判断スピードを求められる。センターでのネガティブトランジション(ポゼッションから非ポゼッションへの移行、すなわちボールを失うこと)は危険である。

また相手が4バックの時、ハーフスペースはCBとSBの間となることが多く、このスペースにポジショニングすれば相手にどちらがマークを付くか、ゾーンを維持するか判断を強いることになる。ボール保持を得意とする多くのチームで見られる戦術で、SBに高い位置を取らせることでSHを横幅の役割から解放させ、ライン間(DFラインとMFラインの間)、特に相手の四角形(CB、SB、SH、CH)の中央に侵入させるものがある。トゥヘルのドルトムントなどが良い例だろう。

Xabi Alonso passes into the half spaces

バイエルンのDHであるシャビ・アロンソは長短のパス精度に優れているが、非常に多くのパスをハーフスペースへと送っている。ペップ・グアルディオラ率いるバイエルンがいかにハーフスペースを重要視しているかがわかる。

Pep Guardiola's Training Field

バイエルンの練習グラウンドには、上図のような線が引いてある。練習場のピッチをスペースに区切ることで、適切なポジションを取り続けてボールを前進させゴールに迫るポジションプレーという戦術をチームに浸透させた。

ハーフスペースについて語るうえで欠かすことができないのが斜め(ダイアゴナル)という言葉である。ボールの動き(パス)、人の動き(オフ・ザ・ボール)、守備ブロックの動きの視点からハーフスペースの特徴を見ていこう。

ハーフスペースでボールを持った選手がゴール方向を見ると、視野が斜めを向くことになる。この視野によって人の動きやスペースを見つけるのが容易となり、相手もボールとマークを同時に視野に入れるためにポジショニングを修正しなければならない。

斜めのパスは縦パスと異なりゴールを視野に入れながらボールを受けることができ、パスコースを切られにくく、成功する可能性が高まる。斜めのパスは縦パスや横パスに比べて相手チームに複雑な動きを強いる。多くの場合、それぞれの選手が違う動きをしなければならず、左右非対称の陣形となり、ミスを起こしやすくなる。具体的には、横パスの場合相手は単純にスライドすればよく、縦パスの場合はプレスバックをすることになる。しかし斜めのパスの場合スライドとプレスバックを同時に行わなければならない上、カバーリングのポジショニングもとらなければならず、非常に複雑である。この複雑な動きの中でマークを外してしまう可能性が高まるのが狙いとなる。

Screenshot (142)

守備におけるチーム戦術は、マークとカバーを適切に行えるよう、ボールの位置を基準にして、段差を付けてポ
ジショニングすることである。つまりボールがセンター、ウイング、ハーフスペースにある時で相手チームの陣形は変化する。上図はウイングのスペースにボールがある時のDFラインの様子であるが、ハーフスペースにボールがある時も段差を付けてポジショニングするためDFラインが斜めになる。この適切なポジショニングを維持しなければならないのだが、ハーフスペースを自在に使われてしまえばミスが出てくる可能性が高まる。

ハーフスペースは自動的にボールや人の動きが斜めになり、ポゼッションしているチームはゴールに向かったプレーに繋がり、非ポゼッションのチームは混乱に陥りやすい。斜めの動きによって相手の視野を動かして優位な状況を作り出すことができるのがハーフスペースである。
























参考資料
Tactical Theory: The Half-Spaces | Spielverlagerung.com





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